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コール作成ソフト“SD”とは

CSC News No.2(1996.04.03発行)より  


文責:楠美 典子  

■“SD”って何?
 最近スクエアダンスの世界ではノートパソコンやら“SD”ってソフトが流行っているようです。そこで今回はこの“SD”について特集します。 まずは「SDなんて聞いたこともない」または「名前だけは知っているけど、何をするものなのかはわからない」という方のために簡単にご説明します。ユーザーの方は読み飛ばしてください。
 “SD”はコーラーがコールを作るための支援ソフトでDOS版とMAC版があります。駒を動かしながら紙にシークエンスを書いていく代わりにパソコンを使ってコールを作っていくためのものです。コーラーが次にかけるコールを考えてキーボードでコールを入力すると画面上で駒が動いていきます。そして、ExtendやCirculateで(もしくはそのままで)Get Outできる形になるとそれを教えてくれます。
 誤解をされている方がいらっしゃるかもしれませんが、コンピューターがコールを作ってくれるわけではありません。

■“SD”の基本的な機能
  では何が便利なのか? まずは駒を動かす手間がいらない=大幅な時間短縮になる。また、駒や紙の上でやっている時に犯すケアレスミスがなくなる……はずなんですが、時々間違った動きをすることもあるので要注意。
 次に入力時にコールを途中まで打つとスペースキーで続きを入力してくれます。ただし、コールの選択肢が複数ある場合はもっと入力しろと要求してきます。MAC版では常にコールリストのウインドウが開いており、DOS版・MAC版共に“?”を入力すると現在の体型からかけられるコールのリストも出てきます。各コールが終わった後の体型の絵を保存しておくことも出来ます。また、レベル毎にリストの読み込みをしますので、最新バージョンのソフトを使っていればレベルオーバーの心配がありません。(時々使えるはずのものが使えないこともありますが……)
 最終的に作ったコールをコンピュータ上でデータとして保存・管理していけるのも大きなメリットと言えましょう。(紙がなくなっても大丈夫)また、コールのシートが活字でプリントアウトされる=手書きじゃない、ということも“読みやすさ”の点でメリットになるのではないでしょうか。
 以上がSDの基本的なメリットだと思います。
(右上に続く
■“さすがはコンピュータ!”
        という便利な機能

 次に、コンピュータならではの便利な機能をご紹介します。
 “SD”のメニューに以下の5つのコマンドがあります。これらはすべて考えるのが面倒になった、もしくは困った時に使う“奥の手”です。

 1) Resolve
 2) Reconcile
 3) Pick Random Call
  (Simple Call/Concept)
 4) Normalize
 5) Standardize

1)の“Resolve”は「ここからGet Outまでのコールを提案してくれ」というコマンドです。1手で返してくれる時もあれば3〜4手かかる時もあります。そして、提案されたコールが気にくわない場合は“Find Another Solution”とすると別の方法を考えてくれます。Get Outを機械まかせにするのはコーラーの美学に反するかもしれませんが、疲れている時には使えるコマンドです。また、私の場合は自分が苦手なコールをどんどん入力していって練習用のシークエンスを作ったりしますので、Get Outを考えてくれるこの機能はとても便利だったりします。

2)の“Reconcile”はある程度コールを作った時点で「ここで終わりにしたい!」と感じる時、つまり、最後の数コールの組み合わせがGet Outに最適だと考えた、でもちょっとだけ合わない、といった時に使うコマンドです。例えば「#1と#3の女性の位置を入れ替えれば終わっているんだよなぁ〜」という状況であれば、そこに至るまでのどこかに#1と#3の女性を交換するようなコールを提案してくれるわけです。使ったことはありませんが、すごい機能ですよね。

3)の“Pick Ramdom Call”は見ての通り、ここで適当にコールまたはコンセプトをランダムに選びなさい、というものです。自分のアイデアと交互に使えば、ステージの上で2人のコーラーがリレーでサイトコールをしているような効果が得られます。(なんてね) コール作りが煮詰まってきた時や自分の使うコールに偏りを感じ始めた時などには効果的かもしれません。

4)の“Normalize”は使いだすとやめられないかもしれません(堕落の一歩かも…)。これはPhantom系のコンセプトなどでFormationがぐちゃぐちゃになってしまった時、「どうやって普通の形に戻したらいいんだろうか」と頭を抱えてしまった時に使う“奥の手”です。その名の通り、“ノーマル”な形に戻してくれます。他のコマンド同様に気に入った解決方法が見つかるまで色々提案してくれます。ただし、かなり難しい状況に陥っている場合はコンピューターも「できない・わからない」と言ってきます。

5)の“Standardize”も似たようなものです。今度はT-boneになったFormationをノーマルな形に戻すコマンドです。「なるほど、そういうやり方もあったか」と感心できるほどの能力を持っているかどうかは定かではありません。

 冒頭に「コンピューターがコールを作ってくれるわけではありません」と書きましたが、もし、これらのコマンドを使いまくったら、それもはや“自分のコール”とは呼べないでしょう。

■使用上の注意点
  〜落とし穴もあります
 使用上の注意点を一言で言えば、“あまり機械に頼り過ぎないこと”となります。上記のコマンドの乱用を避けることもその1つです。
 また、ソフトと同時配布されたドキュメントの中の“What Sd Is Not”という項は以下の一文から始まります。

Sd knows nothing about timing,
body flow, or esthetics
(=美学).

 “SD”はボディフローまで考えてくれません。タイミングについてもスクエアダンスの美学についいても何もわかっていません。(=自分で考えなければいけません。と言っているわけです)
 それから、“SD”を使っていると“できない”コールがたくさん出てきます。ちょっと変わった体型(そんなところからこのコールはあまりかからないぞ、という体型)からコールをかけようとすると“出来ません”と言ってきます。逆に変なところからも機械的に、定義に忠実に動いてしまう場合もあります。例えそれがほとんどのダンサーに理解されないものであっても動いてしまうということです。単純なバグ(間違った動きをする)もありますので要注意です。(右上に続く
■“SD”利用状況
 〜ユーザーインタビューより
 “SD”の最大の弱点は前項で述べた“出来ない”の問題だと思います。やりたいと思っていた動きができないのですから、これによってコーラーは個性的なコールを作るのが困難になります。
 そこで、現在“SD”を利用しているコーラーにインタビューをしてみました。
 まずは「現在使っているシークエンスの何割くらいを“SD”で作っているか」。この質問に対して大塚修さんは「95%はSDを使っている」、竹内敦さんは「ワゴンのコールはすべて手作り、その他C3まではすべてSD」ということでした。それでは例の“できない”はどうしているのか?と尋ねたところ、「同じ効果を得られる別のコールで置き換えて、“コメント”として実際にコールしたいコールを書いておく」という方法をとられているようです。他にも数人にインタビューをしましたが、皆さん多かれ少なかれこの方法で何とかしているようです。ただし、この方法はとても面倒かつ複雑なものの場合は到底できない技なので、どうしても残りの何%かは“手作り”ということにならざるを得ないようです。
 しかし、そうは言っても“SD”を使うことによってコールを作るスピードは飛躍的に速くなります。アメリカのSDコーラーのメーリングリストに“SDを使った場合にかかる時間”が話題にのぼっていました。それをみると、Lynetteは“普通のシークエンス”はSD使用で1時間に20本、手作りで10本、“Hard C3, C4の個性的なシークエンス”ではSD使用で1時間に2本程度(手作りの場合はまちまち)だそうです。インタビューをした大塚さんも「もうSDなしでは生きられない」とコメントしていました。

■入手方法
 DOS版のサポートは菊地紀芳さん、MAC版のサポートは筑波の鈴木秀登さんとなっています。
 ソフトが欲しい方はフロッピーディスク(DOS版ならDOS、MAC版ならMACの)および返信用封筒を準備し(自分の宛名を書いて、80円切手を貼る)、菊地さんもしくは鈴木さんに郵送してください。

※本編ではここで菊地さんと鈴木さんの住所を掲載していましたが、ホームページ上では掲載を控えさせていただきます。SDに関するお問い合わせは私のところにお願いします。

   

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