My Thoughts - File #4 : 「強さ」と「優しさ」 (1998.09.27)


■“人”として生きる

 「強くなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格はない」。これは誰の言葉なんだろう。誰か有名な人の言葉なんだろうけど、私が知ったのは10年くらい前のテレビドラマ「おぼっちゃまくん」の中だった。とんねるずの2人が高校時代からの友人、という設定で、貴さんが「強さ」を象徴しており、木梨が「優しさ」だった。そしてそれぞれ、「優しさ」と「強さ」を忘れないようにと、彼らの相棒役の田中美佐子から贈られたメッセージだった、と記憶している。
 くさいセリフだとは思うけど、結構胸に響いた。
 人として生きるためには両方必要。いや、無くても生きていけるのかもしれないけど、誇り高き人間として、自分を保つためには必要なんだろうな。




■「強さ」について思うこと

 「強さ」にもいろいろある。腕力、体力といった物理的な強さ。苛酷な環境下でも生き抜くための体の強さや精神力。この言葉はどちらかと言うと、そういった物理的な「強さ」を指しているんだと思う。
 肉体的な強さももちろん欲しいけど、私は精神的な「強さ」について、いろいろ考えた。正しいことを正しいと言うための強さ。自分が一度決めたことをやり通す強さ。一言に集約すると、「逃げない」ってことになるのかな。
 言葉で言うのは簡単だけど、「逃げない」ってことはとてもしんどいことなんだよね。それでも私は一貫してこの姿勢をとってきたつもり。だけど、いつもつらくてくじけそうになる。泣き言も言う。格好悪いよね、自分で選んだ道なのに。だから本当はつらいことをつらいと感じないほどの強さが欲しい、なんて思う。泣き言を言いたいような時は、自分に感情がなければいいのに、なんて思うこともある。でも、やっぱりそれじゃあ“人”でいられないんだろうな。




■「優しさ」について思うこと

 「強さ」と「優しさ」は、実は表裏一体だと思う。冒頭の言葉は、「どちらかだけじゃ、ダメよね」と言っているわけだけど、本当の「強さ」を発揮するためには「優しさ」が必要だし、本当に「優しい」人になるためには相当な「強さ」が必要。「自分に感情がなければいいのに」なんて話をしたけど、感情がなければ人の気持ちがわからない人になっちゃう。

 悲しみ こらえて 微笑むよりも
 涙枯れるまで 泣く方がいい
 人は 悲しみが 多いほど
 人には 優しく できるのだから


 海援隊の「贈る言葉」って歌に出てくるフレーズ。これまたずいぶんくさい歌詞だけど、真理だと思う。だから、すべての悲しみは自分の糧になるんだと、私は信じている。そう思うことにしている。
 そして、そうやって学んだ人の心を、「優しさ」として表現するためには、多くの場合、自分の思い、自分のわがままを押し殺さなくてはいけない。それだけでも精神的な「強さ」が必要とされるよね。だけど、更に言えば、「私は本当にそうしたいの」と心から、微笑んで言うためには、単に我慢するんじゃなくて、「押し殺す」なんて表現じゃなくて...もう一段階進んだ「強さ」が必要になるんだろうな。
 私はまだまだ人生修業が足りないから、微笑んで言えなかったりする。そうしてあげたい、と思っていても、心が軋んでしまったり、迷いが残ってしまったり...。
 いつか本当の「強さ」と「優しさ」を手にいれて、一点の曇りもない微笑みができるような人になりたいな。




   

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